きものと私
やっと、着物を着れるような気温になって、先月の末頃から毎日着ています。
こちらに来る前は、年中ほとんど着物で過ごし、ドイツにいた時もそうしていました。
ドイツは涼しいところで、空気がきれいなのでしょうか、足袋や半襟の汚れが少なくて、とても助かりました。
着物を着るのにはうってつけのところでしたよ。
大体最近は、日本国中で着物姿の人はとても少なくて、来ている人は特別の日に限られているようですよね。
私もほんの普段着でも『何処にお出かけ?』とか『きょうは着物で!』と珍しがられてしまいます。
そもそも私が着物を着るようになったきっかけは、母の形見分けにあります。
母は55歳で、脳腫瘍のため他界したのですが、その時、私は32歳でした。
母の初七日が終わって、色々の後片付けが始まったのですが
父が『お母さんのたんすを頼む、ワシにはできん』というのです。
引き出しを開けて、はじめて父の言った意味がわかりました。
思い出がい~っぱいで、泣けて、泣けて、仕事にならないのですが、心を鬼にして、
『これは、おばちゃんに、これはあの人に・・・』と振り分け、ふと気がついたら、後ろに父が立ち尽くし、涙をぼろぼろこぼし
『お前が着てくれたらなぁ』というのです。
私はこの頃から夫婦仲が上手く行かず、両親には心配ばかりかけていたので、母の着物を着ることが、
親孝行になるかもしれない!
そう思って、さっそく実行に移したわけです。
もうあれから30余年、ホントのことをいうと、冬に着る洋服がないのです。
買えないのです、洋服を。
だから、いつも着物を着ています。ふぁっふぁっふぁ~